同じ経験でも、「反省する」という態度で向き合うのと、
「学習する」という態度で向き合うのとでは、大きく違うものだなあ、と感じている院長の岡井です。
昨年94歳という高齢で腰椎の圧迫骨折を患い、退院後の腰と下肢の激痛に悩んでおられた男性の改善症例報告をさせていただきます。
【状態】
腰椎圧迫骨折で4週間入院して退院したが、歩こうとすると右太ももの前が痛みと痺れで歩けない。
階段の上り下りもできず、生活動作全般が困難な状態。
入院していた病院の担当医に相談したが、圧迫骨折はしっかり治っていると説明を受け、痛み止めを処方されるものの全く効かない。
困り果てて、近所の奥様に相談したところ当院を紹介されて来院。
お見えになったときは「こんな痛みが続くくらいなら死んだ方がマシだ」と訴えておられた。
【施術対応】
整形外科での診断では「腰椎の圧迫骨折部からの痛みは考えられない」ということでしたので、
骨折部以外で下肢への関連痛を出している部分はどこなのか?
細かく触察して探し出しました。
※関連痛とは:原因となる部位から離れた部位に感じる痛みのことを指します。
関連痛が生じる主な原因 は内臓ですが、内臓以外にも筋肉や関 節の障害によっても起こるとされています。
お客様にうつ伏せになっていただき、一般的に下肢に関連痛を起こしやすい腰部の筋肉や関節をチェックしましたが、
痛みの引き金となるところは見当たりませんでした。
次いで、仰向けになっていただいて、ある筋肉を触察したところ、
「まさにそれだ!」という痛みが太ももの前に走るポイントを発見できました。
※このように痛んでいる場所に原因となるポイントが見あたらず、痛む場所とは離れた所を触れた時に、いつもと同じ痛みを感じる現象を「再現痛」と言います。
これまでの経験上、筋肉を触察して再現痛を感じるポイントを発見できた場合、高確率で改善することができます。
今回、仰向けで痛みを再現できたある筋肉とは。。。
「腸腰筋」です。
下記の図を参照ください。
腸腰筋は背骨と骨盤から始まり、股関節近くにつく強大な筋肉で、
体重を支えて姿勢を保ったり、股関節の曲げ伸ばしを担うなど、
身体を支える重要な基幹部署です。
腹筋をよけながら注意深く、腸腰筋を丁寧にほぐす施術を進めつつ、自宅でもストレッチを実施していただきました。
その他にも、長期入院の間に動かしにくくなってしまった腸腰筋以外の基幹部署を使う指導もさせていただきました。
※身体の基幹部署については後日、別ページでお知らせする予定です。
週に1回ペースの施術に加え、ご自宅でも基幹部署のストレッチを実施していただいた結果、
3週間後には痛みなく歩ける程度に回復し、
3ヶ月半後にはお着替え、入浴、階段の昇降などほぼ全ての日常生活動作ができるまでに回復されました。
95歳になられる現在も元気にお買い物に出かけておられます。
人には何歳になっても回復するのに必要な力が備わっています。
その力が発揮しやすいように働きかけてあげれば、
私たち人間は年齢に関係なく、発展・成長する可能性を秘めているのです。