胸式呼吸と腹式呼吸、何が違う?ストレスの軽減など、腹式呼吸のメリットは?
健康によいといわれている呼吸法は数多くありますが、特別な訓練は必要なく誰にでもできることから人気が高いのが「腹式呼吸」です。
腹式呼吸はどのような効果やメリットがあり、普段の呼吸とはどのような違いがあるのでしょうか。
胸式呼吸と腹式呼吸の違い
普段何気なくしている呼吸は、息を吸ったときに胸が膨らみ、息を吐くと胸がへこむという動きをしています。
このように胸が動く呼吸は「胸式呼吸」といい、日常の呼吸のほか運動時や深呼吸も胸式で行います。
一方、ベッドの上で横になってリラックスしているときやうつ伏せのときなどは息を吸うとお腹が膨らみ、息を吐くとお腹がへこみますが、胸はあまり動きません。このようにお腹が大きく動く呼吸が「腹式呼吸」です。
腹式呼吸はリラックスしているときや眠っているときに自然に行っている呼吸ですが、起きて活動しているときはあまり見られません。
胸式呼吸と腹式呼吸の主な違いは横隔膜の動きです。
深呼吸を除き、胸式呼吸では横隔膜をあまり動かさず呼吸を行います。そのため、一度に吸える量はやや少なくなりますが呼吸を素早く行えるというメリットがあるため、運動時や日常の活動時に適しています。
腹式呼吸は横隔膜を大きく動かすため、一般的な胸式呼吸よりも一度に吸う量が多くなります。胸式よりも呼吸がゆっくりになるため、気持ちが落ち着いてリラックスしているときに適しています。
腹式呼吸のメリット
お腹と横隔膜を大きく動かし、ゆっくりと深く呼吸する腹式呼吸を行うと、副交感神経が優位になり筋肉の緊張が解けて体をリラックスさせることができます。脳に送られる酸素の量が増え、感情の暴走を抑える役割を持つ「セロトニン」の分泌量が増えるため、気持ちが安定してストレスが軽減されます。
また、横隔膜を大きく動かすことで内臓が刺激され、血流が良くなり、冷え改善や代謝アップ効果も期待できます。
腹筋を動かすことから腹筋強化や腰痛対策にもなるといわれており、日々の生活の中に腹式呼吸を意識的に取り入れることで様々なメリットを得ることができます。
腹式呼吸の仕方
腹式呼吸は立ったままや座ったままでもできますが、慣れないうちは仰向けに寝た姿勢で行うとよいでしょう。
【腹式呼吸の仕方】
1:膝を立てて仰向けに寝た状態でお腹に手を当てる
2:口または鼻から大きく息を吐き出し、お腹をへこませる(横隔膜を引き上げる)
3:鼻から大きく息を吸ってお腹を膨らませる(横隔膜を引き下げる)
4:2と3を繰り返す
ポイントは「吐く」から始めることです。呼吸法というと「吸う」ことに意識が集中しがちですが、しっかり息を吐いていないと吸うことはできません。
また、吐くときは鼻でも口でも構いませんが、吸うときは鼻から吸うようにしましょう。口から吸うと胸式呼吸になりやすいためです。
呼吸はできるだけゆっくり行い、体に力が入らないよう注意してください。
まとめ
胸式呼吸よりもリラックス効果が高いといわれている腹式呼吸を日常に取り入れると、体だけではなく心もリラックスさせることができます。疲労回復やストレス軽減、不安解消などの効果が期待できるので、寝る前や入浴後のリラックスタイムに腹式呼吸を取り入れてみてはいかがでしょうか。