急性のぎっくり腰の後から、痺れ症状に悩んでおられた60代男性お客様の施術例です。
【状態】
テニスの練習後に足の爪を切って立ち上がる際にぎっくり腰を発症。
その後、お風呂に入って温もれば良くなるかと思い、ゆっくり入ったところ身体が震えて動けなくなり、救急車で搬送された。
4日間車いす生活が続いた後に退院。
整形外科でMRI検査の結果、腰椎の4番5番の椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症、座骨神経痛の診断を受けた。
その後も歩けずに困っていたときに、元の上司からの紹介で来院された。
【原因特定・診たて・施術方策】
腰の激痛は腰部のトリガーポイントへの鍼施術ですぐに改善しました。
その後、残った問題は右ふくらはぎの外側〜足背にかけてのジンジン・ビリビリとした痺れ症状と、
足首・つま先を持ち上げる動作(背屈といいます)の筋力が低下したため、歩いていると足がペタン!と落ちてしまい、リズム良く歩けないことです。
どちらの症状も椎間板ヘルニアの神経圧迫の領域に一致するため、専門医の診察も平行して受けていただきました。
その結果、やはり腰椎の4・5番の高さに椎間板ヘルニアが認められました。
ただ、ご本人が手術だけは絶対に受けたくないと強く訴えられたため、当該領域の神経へ酸素供給・栄養補給を目的として、血行を改善するように鍼施術と超音波施術をさせていただいたところ、回を重ねるたびに改善が進み、
結果的に3回の施術でほぼ通常通りの歩行が可能となり、当院施術後1ヶ月半後にはゴルフコースに復帰されました。
現在は指導させていただいたトレーニングやストレッチを、職場の関連会社が運営するスポーツクラブにて続けておられます。
【所感】
明らかに椎間板ヘルニアによって神経圧迫されている症例が、これほどまでに速やかに改善したのは私も初めての経験でした。
既に定年を迎えておられる年齢からでも、進め方次第ではこれほどに回復するのだと、あらためて人の回復力の凄さを感じさせていただいた症例でした。
今回の症例に関しては腰椎の周囲の筋肉の硬直による循環障害が関与していたために、鍼施術と超音波、運動指導で目を見張る改善が見られたものと思われます。
長年苦しんでおられる症例の中には、今回のように筋肉が関与していることが少なくありません。
ただ、厄介なことにこの種の筋肉由来の痛みや痺れはMRIなどの画像診断をもってしても判断できないのです。
筋肉やトリガーポイントを見抜く技術と経験と、信頼できるドクターとの連携がものをいう症例だと思います。
このお客様はこれまで、テニスにランニングにゴルフにと、快活に過ごして来られた方だけに、人生初の激痛と不自由な経験で、これからの未来が「お先真っ暗」とお感じになったそうです。
それが今では毎日元気いっぱいに走り回られているのですから、私たちにとってもこれほど嬉しいことはありません。
明るい未来が見えずに苦しんでおられる方々に、少しでも希望を持っていただけるような施術を、これからも重ねて参りたいと思っております。