肩や腕、腰などの痛みは筋肉痛や肩こり、あるいは腱鞘炎のように使いすぎや筋肉、関節への負担が原因というイメージがあります。
しかし、筋肉痛の痛みは筋肉の炎症が引き起こすものであるため、内臓疾患などで筋肉が炎症を起こすと筋肉痛のような痛みが出ることがあり、なかには命に係わる重大な病気が潜んでいる場合もあります。
病気が原因で筋肉痛のような痛みが出るときは冷や汗を伴うことが多く、冷や汗以外に倦怠感や吐き気が出ることもあります。
冷や汗などの症状を伴う筋肉の痛みが出る病気にはどのようなものがあるのでしょうか。
心臓の病気
心筋梗塞や狭心症、心不全、不整脈といった病気で痛む部分といえば胸のイメージがありますが、実際は胸だけではなく背中や肩、腕にも痛みが出ることがあります。
心臓病が原因の肩や腕の痛みは、左肩・左腕と左側に多く出ることと、痛みのほかに息切れや動悸、めまい、冷や汗が出るのが特徴です。
発作の前兆として肩・腕の痛みが出ることもあるので、原因不明の痛みが続くという場合は念のために医療機関を受診しましょう。
脳の病気
脳卒中や脳梗塞、脳動脈瘤といった脳の病気が原因で片側の手足、肩が麻痺したり痺れたりすると筋肉痛のような痛みが起こります。
また、脳卒中や脳梗塞の発作で麻痺が残ると、関節を支えている筋肉が衰えて肩が亜脱臼をおこし、痛みが出ることもあります。
なかでも注意したいのが、脳梗塞の前兆といわれている一過性虚血発作(TIA)です。一過性虚血発作は脳血管疾患の一つで、頭蓋外動脈が血行障害を起したときに起こります。発作が起こる時間は数秒から15分程が多く、長くても24時間以内に症状が収まります。TIAで麻痺などの後遺症が残ることはほとんどありませんが、TIAを経験した人が3か月以内に脳梗塞を起こす確率は3割程度といわれており、その約半数はTIAから48時間以内に発作が起きているといわれています。
脳の病気が原因の場合、片目が見えにくい、ろれつが周らない、言葉が出ない、声は聞こえていても言葉が理解できない、めまいなどの症状があるのが特徴です。短時間、一度だけであったとしてもできるだけ早く医療機関を受診してください。
その他の病気
筋肉痛に似た痛みは、多発性筋炎、血管炎といった免疫系の疾患や線維筋痛症、リウマチ性多発筋痛症など、心臓や脳以外の病気でも出ることがあります。
まとめ
内臓や免疫などの病気が原因で起こる痛みと筋肉痛の大きな違いは、痛みのほかに冷や汗、吐き気、むくみや原因不明のあざ、発疹、体重減少、睡眠障害などの諸症状や筋力の低下が伴うことです。
痛みの強さや持続時間に関わらず、何らかの症状を伴う筋肉痛がある場合は、できるだけ早く医療機関を受診してください。