お灸には肌の上に直接もぐさを置く「直接灸」と、もぐさを直接置かず伝導熱などを利用する「間接灸」の二種類があります。
間接灸には市販の「台座灸」や「円筒灸」などがありますが、「隔物灸」も間接灸の一種で、もぐさの下にニンニクや生姜などを置いて行います。隔物灸とはどのようなものなのでしょうか。
隔物灸とは
隔物灸はもぐさの下にニンニク、生姜、塩、味噌などを置いて熱することで、温熱刺激に加えて台座として下に置くものの薬効を体に取り入れるのです。
もぐさの下に置くものの種類によって名前が付けられており、ニンニク灸、生姜灸、塩灸、味噌灸などがあります。びわの葉やニラ、墨などを使うこともあります。
隔物灸のやり方
隔物灸をするときは、もぐさを用意する必要があります。左の親指、人差し指、中指と右手の人指し指を使い円錐形の「知熱灸(ちねつきゅう)」というお灸を作っておきましょう。
【生姜灸】
1:生姜を厚さ3~5mm程度の輪切りにする
2:つまようじなどを使って5~10個穴をあける
3:もぐさを乗せて火をつける
4:もぐさが燃え切る前に取り除く
生姜は毎回取り替えてください。
【ニンニク灸】
1:大きめのニンニクの粒から外皮塗膜を剥がす
2:厚さ3~5mm程度の輪切りにする
3:もぐさを乗せて火をつける
4:もぐさが燃え切る前に取り除く
基本的なやり方は生姜灸と同じです。
【塩灸】
1:お灸をする部位にガーゼを乗せる
2:粗塩を1cmほどの厚さに盛る
3:もぐさを乗せて火をつける
4:もぐさが燃え切る前に取り除く
塩灸は主にへそにある「神闕(しんけつ)」というツボに行います。塩は必ず粗塩を使用してください。
【味噌灸】
1:お灸をする部位に和紙を載せる
2:市販の味噌を7mmほどの厚さに盛り、平らに整える
3:もぐさを乗せて火をつける
4:もぐさが燃え切る前に取り除く
味噌は普段料理に使っている味噌で問題ありません。味噌に含まれる水分で体を温めます。
まとめ
皮膚に直接もぐさを載せない隔物灸は、火傷をしたり痕が残ったりする心配がないだけではなく、普通のお灸より高い効果がが期待できるお灸です。
ただし、粘着シール状になっている台座灸などのように固定されていないため、火のついたお灸が倒れたり転がったりする可能性があります。
隔物灸を使うのは背中、腹部、手の甲など平らな部分だけにしておきましょう。また、火傷をしないよう十分注意して行ってください。